この記事の要約
- 家族関係を書き出すと、相続関係で今わかっていることと、わかっていないことが整理できます。
- 誰の相続かによって、相続人の範囲が変わります。
- 家族関係を書き出すことで、相続に向けてどんな準備が必要かがわかります。実際の手続きでは、戸籍などの資料で相続人を確認します。
相続が気になり始めたとき、「誰が相続人になるのか」頭の中で考えても、すぐにはわからないことがあります。
そんなときは、家族関係を一度紙に書き出してみるといいかもしれません。
書き出すことで、今わかっていること、分からないことが整理できます。
本棚で見つけた「小高家の系譜」
先日、本棚にある古くなった専門書を整理していたら、「小高家の系譜」という小冊子を見つけました。
義父が30年以上前に作ったものです。
戸籍謄本を取り寄せ、小高家のお寺を訪ねて、古文書からも調べてもらって書いたと聞いています。
久しぶりに開いてみると、なかなか面白い。
歴史ドラマで家系図を見ると、「この人たちは兄弟で、ここでこの家とつながっているのか」と、登場人物の関係が分かることがありますよね。
では、自分の家の家族関係を、図にして見たことはありますか。
私は職業柄、これまでいろいろな方の家族関係を見てきました。
そこから、その家の歴史だけでなく、相続について確認しておきたいことが見えてくることもあります。
まずは、身近な家族を書いてみる
義父のように、何代もさかのぼって調べるところから始めなくても大丈夫です。
最初は、手元の紙に分かる範囲で書いてみてください。
- 自分の名前を書く。 まずは、今の自分から見た家族関係を整理します。
- 両親、きょうだい、配偶者、子どもを書き足す。 親子や夫婦のつながりを線で結びます。
- 祖父母や、両親のきょうだいにも目を向ける。 分かる範囲で書き、亡くなった方については、そのことが分かるようにメモします。
- 曖昧なところに印を付ける。 名前や関係が分からないところは、空欄でも構いません。思い込みで埋めないようにします。
この段階では、相続人に当たる人だけを選ぼうとしなくてもよいと思います。
まず関係を書き、その後で「誰の相続を考えるのか」を決めて見直していきます。
家族関係には、人に話しにくい事情が含まれることもあります。
書いたものを誰かに見せるかどうかも、自分で決めてかまいません。
親・自分・配偶者、それぞれが亡くなった場合を考える
一枚書けたら、次の三つの問いで見てみてください。
- 自分が亡くなった場合、誰が相続人になるだろう。
- 親が亡くなった場合、誰が相続人になるだろう。
- 配偶者が亡くなった場合、誰が相続人になるだろう。
同じ図でも、誰の相続を想定するかによって、相続人の範囲が変わります。
法律上の基本は、配偶者と、順位に従った血族相続人を確認することです。
第1順位は子、第2順位は父母などの直系尊属、第3順位はきょうだいです。後の順位は、前の順位の相続人がいない場合に進みます。
子やきょうだいが先に亡くなっている場合には、その子などが相続人となる代襲相続の確認も必要です。
この説明だけで、ご自身の相続人が確定するわけではありません。相続放棄などで扱いが変わる場合もあります。
制度の基本は、国税庁「相続人の範囲と法定相続分」でも確認できます。
家族関係を書き出して、必要な準備を考える
家族関係を書き出すことで、どんな準備が必要かがわかります。
たとえば、家族関係について確かめておきたいことや、連絡先を確認しておきたい人を整理できます。
実際に相続手続きを進めるときには、戸籍などで家族関係を確認します。必要な資料は、ご家族の状況や手続きによって異なります。
そして、紙に書いているうちに、
「しばらく連絡を取っていないな」
「このことは、誰に聞けばいいんだろう」
と思うこともあるかもしれません。
家族との気持ちの距離と、法律上の関係は、分けて確認していくことが大切です。
今すぐ誰かに連絡したり、財産の分け方を決めたりするところまで進めなくても、まずは自分が何を知らないのかに気づくところから始められます。
ただし、すでに相続が発生している場合には、期限のある手続きもあります。整理が全部終わるまで待たず、必要な手続きや期限を確認してください。
「分からないこと」が一つ見つかったら
書き終えた紙の余白に、一つだけメモしてみてください。
「今、確認しておきたいことは何だろう」
難しい知識を一度に覚えなくても、一般的な説明を自分の家族に置き換えることで、次に確かめたいことが見えてきます。
私は、「知らなかったから、選べなかった」をできるだけ少なくしたいと思っています。
知ったうえで、今は何をしておけばよいのかを考える。
家族関係を書き出す時間が、そのための小さなきっかけになればと思います。
自分の家族に置き換えて学ぶ、相続の講座
COCONAO第3回「これだけは知っておきたい相続手続き」では、家族関係を書き出し、自分・親・配偶者それぞれが亡くなった場合に誰が相続人になるのか、相続の基本を考えます。
- 開催:2026年10月15日(木)20:00〜21:30
- 方法:Google Meet
- 参加費:8,800円(税込)
- 申込締切:2026年10月14日(水)正午
- 第1回・第2回を受講していなくても、この回だけ参加できます。
この記事を書いた人
司法書士・心理カウンセラー こたか真子
滋賀県大津市を拠点に、人生の節目にある方の法律の問題と気持ちを一緒に整理し、ここからの人生を見直していく一歩を支援しています。
プロフィール
参考情報・注意事項
制度説明の確認先:国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
確認日:2026年10月3日。
この記事は一般的な情報です。個別の相続人や必要な手続きは、ご家族の状況や戸籍等に基づく確認が必要です。講座の受付状況・条件は申込先の最新の案内をご確認ください。




