ビジネスをするうえで、契約書を作ったほうがいいことは、わかっている。
でも、どうやって作っていいかわからない。
誰に聞いたらいいかわからない。
という人は、少なくないようです。
ネットには、無料でダウンロードできる契約書テンプレートがたくさんあります。
その中から、必要そうなものを切り貼りして、見よう見まねで、それらしく作ることは、できないわけではありません。
でも、契約書に関する専門的な知識がないまま、「それらしく作ってしまう」ことには、リスクが伴います。
たとえば、どんなリスクがあるのか?
様々なリスクが潜む中で今日は、代表的なリスクを3つだけお伝えします。
【リスクその1】自分に不利な契約書を作ってしまう
損害賠償に関する条文を例にとって、見ていきましょう。
次の2つの文章のうち、Bの損害賠償責任の負担が重いのは、どちらでしょう?
1.Bは、本契約上の義務に違反し、これによりAに損害が発生した場合は、Aに対して当該損害を賠償する責任を負うものとする。
2.Bは、本契約上の義務に違反し、これによりAに損害が発生した場合であって、当該損害の発生についてBに故意または重大な過失がある場合に限り、Aに対して損害賠償責任を負うものとする。 |
漢字ばっかりの読みづらい文章で、面食らった方もいらっしゃるかもしれませんね。
Bの責任負担が重い条文は、1です。
このように並べてみればわかりますが、テンプレートにシレっと書かれていたら、皆さんは、見抜くことはできそうでしょうか?
【リスクその2】法律用語の使い方を間違えることがある
次の3つの言葉は、契約書の中で時間的な意味を示すものです。
即時性(すぐにやるべき)が高いものから順に並べると、どうなるでしょう?
①直ちに ②速やかに ③遅滞なく |
答えは、①、②、③の順になります。
商習慣にもよりますが、
「直ちに」は、今日、明日中に。
「速やかに」は、2,3日中に。
「遅滞なく」は、1週間から10日以内を目途に。
というイメージです。
取引先からの要望に「直ちに」応える必要があるのか、「遅滞なく」なのかで、
対応すべきスピード感が違ってきますので、このあたりを理解して使わないとトラブルの原因になりかねません。
このように、法律用語は、一般的な使い方より厳格に使い分けられているものも多いので、注意が必要です。
リスクその3 契約の内容が反映されていない
そもそも契約は、「自由」であることが原則ですが、
取引先との間で交わした約束を書面の落とし込んだものが、契約書です。
でも、ネットから拾ってきたテンプレートは、一般的なものであり、
個別の契約に合った内容にはなっていません。
そのため、一番重要な個別の約束事が契約書に盛り込まれずに、いざという時に意図していた契約の効力が発揮できない
ことが起こり得ます。
そうなると、せっかく契約書を作っても、あまり意味のないものになりかねません。
契約書を交わすのは、ポジティブで温かいものなんだ
先日、私の契約書作成コンサルティングを受けてくださった方が、こんな感想をお寄せくださいました。
「契約書を取り交わすというのは、何か問題が起きたときに争っても負けないために作るものなのかな、と漠然とネガティブなイメージがありましたが、実はそうではありませんでした。
(もちろんそういう面もあると思いますが)きちんとしたルールに基づいて契約書を取り交わすのは「事前にお互いに約束事を確認しておくことで行き違いを防いで、どちらも嫌な思いをしなくて済むようにする」というとてもポジティブで温かいものなんだな、と感じられるようになったことがとてもよかったです。」 |
契約書を作成するのは、言った言わないの水掛け論を防ぎ、最終的には裁判での証拠になるものでもありますが、
もっとその前に、提供するサービスや商品についてお客様により深く理解していただくためのツールであり、契約書を交わすプロセスで信頼関係が深まるものだ、と私は考えています。
自分の場合には、どんな契約書を作ったらいいんだろう?
誰に聞いたらいいのか、わからない。
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